ネパール語にまだなじみがなかった時、ネパール人と知り合っても名前を覚えるのが大変でした。そもそもネパール語の音が耳慣れないので聞き取れないし、聞き取れても知らない単語って記憶するのが難しいものです。でもネパール人の名前の意味が分かってくると、だんだんと覚えやすくなってきました。

日本では自己紹介する時、自分の苗字だけを名乗ることがけっこうありますよね。でもネパール人は、お互いを苗字ではなく名前で呼び合うことが多いです。初対面の人に対してはフルネームを名乗ったりもしますが、基本的にはファーストネームだけを使って呼びかけます。

なんでそういう文化なのかには幾つか理由がありますが、まずネパール人のファミリーネームにあたる部分は、かぶってることが多いからです。近所の人や親戚がみんな同じ苗字!みたいなところもありますので、苗字で呼び合うのは分かりづらいんです。

そしてなぜ同じ苗字の人が多いのかと言いますと、ネパール人のファミリネームは、そのままその人のカースト(ヒンズー教における階級、就ける職業も決まっている)を表わすものでもあるからです。一昔前までは、『この苗字の人はこのカーストで、この職業にしか就けない』というのが決まってたんですね。

現在のネパールでは職業選択もある程度できるようになっていますが、未だにカーストを気にする人たちもいます。自分は比較的高いカーストの苗字であることを誇りに思っていたり、低いカーストの人を見下げたりする傾向が見られることもあります。

それでネパール人を苗字で呼ぶと、それが比較的低いカーストの人であった場合、相手を見下しているかのような印象を与えてしまうこともあります。ヒンズーのカーストというのはすごく細かいもので、ゴミ拾い専門の人のカーストとか、物乞い専門の人のカーストとかもあり、ネパール人は苗字を聞いただけで分かります。

なので外国人がネパール人に呼びかける時も、ファミリネームではなくファーストネームを使うほうが無難です。カーストの低いネパール人に対してわざわざ名字で呼びかけると、「ちょっと、物乞いさん!」みたいな呼び方をしている感じに聞こえてしまうこともあるのです。知らず知らずのうちに、失礼なというか嫌味な言い方になっちゃうかもしれないんですね。

そういうわけで、ネパールではお互いをファーストネームで呼び合います。自然と日本人の友達に対してそうなるので、友達の名前は知ってるけど苗字は覚えてない・・・ということもけっこうあります。なのでたまにかかってきた電話で「近藤ですけど」とか言われると「え、だれだっけ?」となったりします。

 

前置きが長くなりましたが、そんなこんなでネパール人を呼んでいるうちに、だんだんとネパール人の名前のよくあるパターンも分かってきます。実際の所、ネパール人はファミリーネームだけではなく、ファーストネームもかぶってることが多いです。

ネパール人の名づけ方でポピュラーなのは、ヒンズーの神様の名前をつけること。ヴィシュヌ、ガネシュ、クリシュナ、ラクシュミ、クマリ、ブッダなどの名前を聞いたことがあるかもしれません。有名なシヴァ神は別名サンカルとも言い、サンカルさんというネパール人男性もけっこういます。

ちなみにガネシュ(ガネーシャ)という神?はこんな姿をしています。

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タメルのお土産屋さんで見かけたガネシュさん。なんでこんなポーズをしているのかは不明(笑)。

ネパール人の名づけ方でもう一つのポピュラーなパターンは、特質を名前にしたものです。多いのはマヤ(愛)、サンティ(平和)、ナムラタ(謙遜)、バハドゥウル(勇敢)などでしょうか。怒りっぽい性格だけどサンティさん、みたいな人もいておもしろいものです(←失礼)。

神様の名前か特質の名前、大体この2パターンが多かったネパールですが、最近になって新しい傾向が出てきたようです。そう、欧米文化の影響というか英語かぶれというか、ちょっとしたキラキラネーム的な名前の若者が、最近増えてきているのです。

アカスくん(空)とか、アシスくん(祝福)とかはちょっとカッコイイな!と思うんですが、プリティちゃん、ラッキーちゃん、エンジェルちゃんなんて名前のネパール人が登場し始めているんです。日本人でも天使ちゃんとか居そうですよね。

子どものころはまだいいんです、そういう名前でも可愛いので!でもその子がおじさん・おばさん、おじいちゃん・おばあちゃんになった時にも似合ってるんでしょうか。そう考えると、日本でキラキラネームつけちゃう親もそうですけど、ちょっと考えが浅はかかなーと思っちゃいます。

まあネパール人の感覚って分からないんですけどね。エンジェルさんが50歳くらいになっても、まあ素敵!って皆思うのかなぁ。何にせよ、本人が気に入ってるんならいいんですけどね。

そういうわけで、ネパールにもキラキラネームブームが来てるかも!という話でした。日本文化も外国の影響を受けて変化している部分もあると思いますが、ネパールでも同じことが起こっているのかもしれませんネ。